野菜は多くの疾患の予防に効果的
「野菜・果物」のメタアナリシス結果
野菜や果物のメタアナリシス(「食と健康」の最重要の論文)の結果をメタ・チャートで見ると、きれいに青色が並んでいることがわかります。これはつまり、野菜を多くとる人は、多くの病気になるリスクが低いことを意味します。かなりの健康効果が期待できることが一目でわかります。また果物についてもほとんどが青色です。
「野菜・果物」のメタアナリシス結果はこちら。
肉、脂質、炭水化物は要注意
「肉」のメタアナリシス結果
メタ・チャートが示すように、論文の結果は赤色が多いことがわかります。これはつまり、肉を多くとる人は、多くの病気になるリスクが高いことを意味します。毎日の食事ががんとどのように関係しているかを教えてくれるのが、これまでに発表されているメタアナリシスです。
「肉」のメタアナリシス結果はこちら。
「脂質」のメタアナリシス結果
脂質は人間にとって大事な栄養素ですが、現代における食の問題とは、脂質の不足よりもむしろとりすぎによる健康被害です。1960年代から現在までに国民一人が消費する脂質(動物性と植物性の両方)の量は実に4倍に増えています。それと同時期にがんなどの患者数が大きく増えていることには、なんらかの因果関係があると考えられます。(詳しくは「食の変化と病気の増加」へ) そのことを支持する研究結果が、脂質と疾患リスクのメタアナリシスです。
「脂質」のメタアナリシス結果はこちら。
「炭水化物」のメタアナリシス結果
私たちは炭水化物をとらなければ生きていけませんが、現代の日本における問題は、精製された穀物である精白米、精製小麦、精白糖を多くとることによる健康への悪影響です。そのことを明確に示しているのが穀物、炭水化物、そして糖に関するメタアナリシスです。
「炭水化物」のメタアナリシス結果はこちら。
食品からとる栄養は効果的だが、サプリは効果的とはいいがたい
「サプリ」と「食品からとる栄養」のメタアナリシス結果
毎日の生活の中では、サプリを目にする機会が多くあります。テレビや新聞などでは多くのサプリが宣伝され、コンビニやドラッグストアでも目につく場所に多くの商品がならんでいます。近年の健康意識の高まりのなかで、ふだんの野菜不足をサプリで補おうとする意識の表われでしょう。
ここで人々の考えの基礎となっているのは、「野菜や果物の栄養成分は、サプリで代用することが可能だ」というものです。しかし、はたして本当にそうなのでしょうか。
メタ・チャートの「精製品・サプリメント」のうち「ビタミン・ミネラルサプリ」の列をみてみると、先天性異常など一部ではきわだつ青がみられるものの、それ以外はすべて、統一感のないはっきりしない色となっています。特に多いのが「0」を示す黄色のマスです。つまり「サプリには疾患を予防する効果がないことがわかった」という結果が多いのです。
1960年ごろにサプリが市民権を得て今のように一般化するまでの半世紀の間、「食品の栄養成分をサプリで代用できるのか」という疑問に対する明確な答えはこれまでになく、現在も研究がつづけられています。
食と疾患予防の全メタアナリシスのうち、「ビタミン・ミネラル」のサプリについての論文数は、全カテゴリーのなかで最多となっています。このことからも、研究者らがこの問題に強い関心をもっていることがわかります。その研究結果として現在までにわかったのが、数多くならんでいる「0」なのです。
では、ビタミン等をサプリとしてではなく食品からとる場合はどうでしょうか。メタ・チャートの「食品からとる成分」の「ビタミン・ミネラル」の列をみると、気持ちがいいくらい鮮やかな青色を示しています。サプリからとるのにくらべて、食品からとる栄養成分については、疾患リスクの大きな減少効果が示されているのです。
さらに、第6・第7の栄養素といわれている「食物繊維・フィトケミカル」の列も同じように、きれいに青色がならんでいます。フィトケミカルとは植物由来の微量成分のことで、ポリフェノールやカロテノイドなどがあります。これらは食品の色素成分であり、抗酸化作用などの体によい働きが期待されて近年注目されています。
なお、サプリでとる食物繊維やフィトケミカルついては、副作用に関する論文が1報あるのみです。つまり、これらのサプリの健康効果は、確かなことがまったくわかっていない状況なのです。
「サプリ」のメタアナリシス結果はこちら。
「食品からの栄養」のメタアナリシス結果はこちら。
このサイトの内容を含む総合版は、Amazonで販売中です。
「本当に健康になる食」はこれだ! 2015年版