疲れやだるさ、それは未病かもしれません
未病という言葉があります。これは東洋医学の考え方だそうですが、これは病気になる前段階のことで、検査では異常がみられず病名がつかないものの、健康が損なわれている状態です。
これはとても自然な考え方です。病気というのは、白が黒になるように突然異常な状態となるものではなく、気づかないところでじわじわと小さな影響が蓄積して体に変化を起こし、結果的に医師が診断できるほどの異常へと発展するものだからです。
その間の体調といえば、当然、体の重さやだるさ、気分が晴れない、寝ても疲れがとれないといった不調をともなうものとなるでしょう。
その疲れやだるさの解消に必要なのが「野菜」だと考えられるのです。
疲れやだるさの解消に必要なのは「野菜」です
なぜそう言いきれるの?
それは重要な論文をすべて調べた結果だからです。当協会の調べでは、「本当に健康になる食」とは次のような内容です。
・野菜は多くの疾患の予防に効果的
・肉、脂質、炭水化物は要注意
・食品からとる栄養は効果的だが、サプリは効果的とはいいがたい
こんなにシンプルでいいの?と意外に思うかもしれませんが、これらは600以上の重要論文にもとづく結果です。世の中にはこのシンプルな結果以外の情報があふれていて、私たちはそれにふりまわされているのです。
この結果から見えてくるのは、「野菜によって病気になるリスクが減る」ということです。これは同時に、「病気の前段階である未病になるリスクも減る」ということを意味します。したがって、未病の解消には野菜をたっぷりとることが有効だというのが、最も理にかなった考え方となります。
また、「肉、油、炭水化物を多くとることで病気になるリスクが増える」こともわかっています。これもつまり、「未病になるリスクが増える」ことを意味しますから、未病の解消には肉、油、炭水化物を減らすことが有効だといえます。
さらに、サプリなどの精製された栄養では、健康効果はないか、または不明であることがわかっています。
また、サプリ以外の健康食品(特定保健用食品も含む)についてはメタアナリシスすら行われていません。これはつまり、健康食品による「未病を解消する効果」は科学的にはっきりしていないことを意味します。
寝不足であれば睡眠をとる必要があるし、運動不足なら運動をすることで大きな健康効果が得られるでしょう。また、好きなことをして気分転換をしたり、ゆっくりとリラックスすることで元気になることもあります。このようにして疲れが解消されるなら、それは健康な状態だといえます。
しかし、それでも取りのぞかれない疲れなら、それは未病という状態をまず疑うべきです。そして、その第一の原因として考えられるのが野菜の不足です。
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「本当に健康になる食」はこれだ! 2015年版
食の変化 と 病気の増加
休んで解消されない疲れやだるさは、病気の手前の「未病」という状態かもしれません。実は今、日本では病気になる人が増えつづけています。そのため、未病の人も増えつづけていると考えられます。病気になる人が増えつづける間、私たちの食生活も大きく変化しています。
下のグラフを見ると、私たちの野菜の消費量は年を追うごとに減少しています。(農林水産省、国民1人あたりの野菜の消費量[i])
しかもその「野菜不足」は、年齢が若いほど顕著です。(図1、厚生労働省の調べた年代別の野菜の摂取量[ii])
野菜の消費量が減りつづける一方で、肉と油の消費量は4倍に増えています。([iii])
このように食生活が大きく変わるとともに、国内のがんや脳卒中などの患者数は実に4倍以上になっています。(下図[iv]) 実際の数でいうと、2008年時点での国内の総患者数は、がん、心臓疾患、脳卒中でそれぞれ約150万人[v]、糖尿病は240万人[vi]です。
こうした患者数の増加は食べものだけが原因だとはいえませんが、私たちが毎日食べるものの影響は決して小さくありません。
「メタ栄養学」が明らかにしているのは、食生活の変化のうち野菜の消費量が減り続ける一方で、野菜以外の消費量が大きくなっていることが、これらの病気が増える大きな原因だという明確な根拠があるということなのです。
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[i] 農林水産省「平成19年度 食料・農業・農村白書」第1部 第2章 第1節(2)ア中、図2-19データより。
[ii] 厚生労働省「平成22年国民健康・栄養調査報告」より。グラフは変化を強調するために底上げしています。
[iii] 脚注iと同じ。
[iv] がん研究振興財団「がんの統計’12」15. 受療率の推移(p.98)より。受療率とは、ある調査日の入院患者と外来患者の総数を10万人あたりの人数として表したものです。簡単のため、本サイトで は脳血管疾患を脳卒中としています。なお、受療率に疾患ごとに異なる係数を掛けて、総患者数を導きます。
[v] 図をみると、がんと心臓疾患の受療率は大きく異なるのに、国内の患者数はともに約150万人です。これは、受療率から総患者数を求めるときに掛ける係数が、疾患ごとに異なるからです。
[vi] 厚生労働省「平成22年度我が国の保健統計 1.患者の動向(p.22)」より。